投稿記事一覧
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西洋になぜキリスト教が浸透したのか
現在、西洋で最もメジャーな宗教はキリスト教です。しかし西洋の人びとは、古代期までローマ神話に代表される多神教を信仰していました。つまり、キリスト教は中世期になって西洋に浸透した宗教なのです。 中世期以前に大陸の主権を握っていた、ローマ帝国... -
西洋における青の歴史 – 人気の色になるまで
西洋中世期の色彩体系は、白/黒/赤の3色がメインでしたが、12世紀頃から、青の人気がはっきりと高まりだしました。青はたちまち、赤と並んで王侯貴族に好まれる、二大色の1つとなり、現代においても、その系譜はつづいています。 青はどのような過程を経... -
中世後期の風景画の特徴と魅力
はじめに 西洋における森の歴史で、「風景画」という絵画のジャンルが確立したのは17世紀ごろだとお話しました。簡単に言うと、森が「異界」でも「征服すべきもの」でもなく、「癒し」としてとらえられるようになってからです。 西洋絵画といったらルノワ... -
一角獣(ユニコーン)の性質
伝説上の動物、一角獣(ユニコーン)の性質について紹介します。西洋では古くから文学作品に登場し、乙女が飼いならすことができると信じられています。 一角獣に関する最初の記述 コンラート・ゲスナー(1516 – 65) 『動物誌 第1巻 胎生の四足動物につい... -
語源からたどる西洋と日本の「政治」の違い
今回は、西洋における「politics(政治)」と、日本における「政治」が、語源的に異なる思想から成り立っていることを紹介します。 現代では、2つの単語は同等の意味として使われますが、それは日本の「政治」が西洋の「politics」の意味に近づいた結果で... -
まことの名を知らなければ魔法を使えない
最近、新しい単語の語源を知り、思うところがありました。すなわち、「名前」はその人の本質をよく表す、ということです。今回は、「名前に人や物の本質が宿る」ということについて考察します。 名前は人を表す 先日、プラトン著の『ラケス』を読みました... -
文明の象徴としての火
古代ギリシアには、世界の物質は火、風、水、土の4つの元素から構成されるという、「四元素」と呼ばれる概念がありました。しかし「火」は他の3つと異なる、特別な物質です。 というのも火は、「自然」から生じる現象であるにもかかわらず、ヒトをほかの動... -
西洋における森の歴史 – 畏怖から癒しの対象へ
イギリスにおける魔法の歴史で、ケルト人が木々やそこに宿る精霊、妖精を信じていたとお話しました。これはとても自然な話です。日本人も古くから、あらゆる自然に神が宿ると信じてきました。世界各地どこでも、森深い地域で最初に生まれる信仰は多神教な... -
イギリスにおける魔法の歴史 – なぜ魔法文化が存在するのか
『ハリー・ポッター』に代表される、ファンタジー物語とは、「魔法がでてくる空想の物語」のことです。そして、ファンタジー物語発祥の地はイギリスです。 ファンタジージャンルが生まれるには、その地に「魔法」の文化がなければなりません。つまり、イギ... -
『マギ』から学ぶ経済学
はじめに わたしは漫画をそれほど読まないのですが、唯一、本棚にずらりと大切に並んでいる漫画があります。……それは、大高忍先生の『マギ』です。 学生時代所属していた西洋中世史ゼミで、友人に勧められたのが『マギ』でした。友人曰く、実際に存在した...