投稿記事一覧
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神話や物語において、なにが異界への入口とみなされるか
はじめに 西洋における森の歴史で西洋人が昔、森を「異界」だと捉えていたことを説明しました。異界とは、人間が住む世界とは別の世界、神々や精霊や悪霊が住む世界のことです。人びとは基本的に、異界を恐れ、出来る限り近づかないようにしていました。&n... -
西洋における樹木信仰のなごり
西洋の信仰と聞いてイメージするのは、キリスト教かもしれません。しかしキリスト教が中東から伝播する以前の、土着信仰のなごりは、西洋人の生活の諸所に存在します。 今回は、西洋における樹木信仰のなごりを紹介します。 樹木信仰の概要 Oluf Bagge 《... -
『アルジャーノンに花束を』の解釈
はじめに 今回は『アルジャーノンに花束を』を読み、解釈したことをまとめます。ネタバレありです。 あらすじ 物語は、知的障害者であるチャーリイが知能レベルを高める手術を受けるところから始まる。手術は今まで動物に対してのみ実施されてきた。そのた... -
小説における翻訳のメリットとデメリット
はじめに 世界には偉大な文学作品がたくさんあります。『ロビンソン・クルーソー』、『レ=ミゼラブル』、『タタール人の砂漠』、『魔の山』……例として挙げた4作品はそれぞれイギリス、フランス、イタリア、ロシアの文学作品です。 多くの日本人はこれらの... -
『メリュジーヌ物語』の概要
以下は、中世期の騎士道物語の1つである『メリュジーヌ物語』の概要です。騎士は湖で美女に出会うの記事で取り上げています。物語の舞台は現在のフランスです。 ポワエィエ伯エムリの従兄弟フォレ伯の三男であったレイモンダンは、エムリと共に狩りにでた... -
騎士は湖で美女に出会う
西洋中世期の騎士道物語において、主人公は森を冒険すれば必ず、湖(泉)で恋人となる女性に出会います。そこで出会う女性は、決まって美しく、キリスト教から見て「異教」的な存在、つまり妖精などの超自然的な存在です。 今回は、西洋の騎士道物語に登場... -
西洋中世期の川と都市の発展
中世ヨーロッパの都市は、川の恵みを享受しながら発展しました。今回は、都市の発展に寄与した川の機能を3つ紹介します。 川が人にもたらす恵み 人類の文明発展の礎となった四大文明は、川を中心として発展しました。四大文明とは、メソポタミア文明、エジ... -
ノマド(nomad)の語源
はじめに ノマドとは、英語のnomadまたは仏語のnomade(遊牧民)に由来しており、「ノマドワーカー」の略語です。ノマドワーカーとは、オフィスなど、特定の場所にとらわれずに働く人のことです。自宅だったり、河原だったり、山奥だったり、ネット環境さ... -
西洋における道の文化史
中世ヨーロッパの道は、自分たちの共同体(村や町)から延びる異界への案内線でした。そこには超自然的な存在がはびこり、盗賊も出現しました。そのため、共同体から外れた道を歩くのは、中世の人びとにとっては命がけでした。 今回は、西洋における道の文... -
西洋中世期におけるアジール【具体例4つ】
アジールとは「聖域」を意味し、人の権力が及ばない領域を意味します。なぜならそこは、神々や霊的存在の支配領域だからです。そのため人間の定めた法を犯した者にとって、格好の避難場所となりました。 今回は西洋中世期に存在したアジールを4つ紹介しま...