投稿記事一覧
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作品考察
ロード・ダンセイニ『エルフランドの王女』の考察
はじめに ロード・ダンセイニの『エルフランドの王女』と出会えたのは本当に幸運だった。 2021年7月現在、『エルフランドの王女』は絶版になっている。ところがある日、行きつけの本屋へ行くと、新品の『エルフランドの王女』が陳列されていた。それが陳列... -
作品考察
サン=テグジュペリ『人間の土地』を読んで考えたこと
はじめに 前回は『星の王子さま』だけではないサン=テグジュペリにて、サン=テグジュペリ作品の魅力を紹介した。今回は、彼の飛行士としての経験を元に書いた小説のうち、『人間の土地』を読んで印象に残ったエピソードの所感を3点、綴ろうと思う。 自由を... -
作品考察
『星の王子さま』だけではないサン=テグジュペリ
はじめに 『星の王子さま』は200以上の国と地域に翻訳されている、世界的に知られた名文学である。しかし、その作者サン=テグジュペリ(1900-1944年)による他の作品を知る人は、意外と少ないのではないだろうか。 今回私は、彼の作品である『夜間飛行』と... -
日記
花とケーキ
はじめに 私はとある金曜日、花屋の店先に立っていた。色とりどりの花は見ているだけで美しい........どれ、一束買おうかな。いや、何でもない日にお花を買うなど、ちょっと贅沢ではないか? いやいや、週末くらいお花を見ながら過ごしても良いのでは? ... -
創作物語
文献学者にして作家、J.R.R.トールキンの夢
はじめに アントニオ・タブッキによる『夢のなかの夢』は、20人の歴史上の人物(うち一人は架空の人物)が見たかもしれない夢について書かれた短編集だ。以前読んだ『インド夜想曲』も夢とうつつをさまようような世界観でよかったが、今回読んだ作品も負け... -
美術鑑賞
トライアローグ展【美術展レポ2021年】
はじめに 書くに値することがない場合には沈黙するーーというのがブログ『中世ヨーロッパの道』の不文律だ(※勝手に決めた)。 このブログを開設後、いくつもの美術展に訪れた。例えば「奇想の系譜」展や、「ギュスターヴ・モロー」展、「ハマスホイとデン... -
作品考察
『鋼の錬金術師』のテーマ考察
はじめに 今回は『月間少年ガンガン』において2001年から2010年まで連載された、荒川弘の漫画『鋼の錬金術師』について、メインテーマを考察します。ネタバレするので未読の方はお気をつけください。 最近まで私の『鋼の錬金術師』に対する知識は、連載当... -
服飾
輝きに惹かれる人びと
はじめに 以前、西洋における光の文化史において、西洋の中世期の人びとが輝きを放つものを好んでいたと記載しました。 記事を書いた後に思ったのは、輝きに惹かれる者は西洋中世人だけではないということです。例えば現代において、ダイヤモンドはより輝... -
おすすめ本
午後、あるいは青空に対する哀愁のアンソロジー
はじめに 私はよく晴れた日の午後に哀愁を感じることがある。小学生低学年あたりからそう思いはじめた。真っ青な空や、煌々と照らされた草木、光を放たない白い月、そういったものを眺めていると、物悲しくなる。それに飛行機が上空を通過する音。 成長す... -
物語論
ファンタジーが逃避文学ではない理由
はじめに 世の中における一定数の人はこう信じています――「ファンタジーは逃避文学である」。ファンタジー文学の祖と言われるJ.R.R.トールキンも、ファンタジー小説を世に出したとき、世間から自身の作品がそのように捉えられ、無下に扱われることを憂慮し...