投稿記事一覧
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アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』の紹介
はじめに 今回は、イタリア生まれの作家でありポルトガル文学研究者である、アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』を紹介します。ネタバレはなしです。 読もうと思ったきっかけ 私は西洋中世史という興味関心上、普段から西欧文学をよく読みます。しかし「... -
西洋中世期における写本の歴史 – 修道士から都市職人による制作へ
西洋では、15世紀にグーテンベルクによって活版印刷が広められるまで、印刷本は存在しませんでした。つまり、中世期に存在した本は、すべて人の手で書かれた本でした。このような本を「写本」と呼びます。 写本はなぜ、誰によって制作されたのでしょうか。... -
西洋中世期の言葉と文字に宿る霊性(魔法)
ファンタジー物語では、魔法が発生する契機として、言葉(呪文)や文字(魔法陣)が登場しがちです。じつは、言葉や文字を媒介とする魔法の歴史は古く、西洋の中世期にもそのような考えが存在しました。 今回は、西洋中世期における「言葉」と「文字」に宿... -
『風の谷のナウシカ』の世界観を考える
はじめに 映画『風の谷のナウシカ』は宮崎駿が『アニメージュ』で連載していた同名のタイトルの漫画を原作とします。公開年は1984年。制作会社こそスタジオジブリではないものの、のちにスタジオジブリで活躍するスタッフが手掛けた映画として、世間ではス... -
映画『戦場のメリークリスマス』の解説
はじめに 1983年に公開された『戦場のメリークリスマス』(英: Merry Christmas, Mr. Lawrence) は日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの合作映画です。第二次世界大戦中のジャワ島における日本軍捕虜収容所を舞台とし、日本兵とイギリス人捕... -
西洋における光の文化史
はじめに キリスト教における旧約聖書の冒頭には、光と闇に関する象徴的な記述があります。 初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。 「光あれ。」 こうして、光があった。神は... -
映画『ミッドサマー』の解釈 – 物語はハッピーエンドなのか?
はじめに 2020年2月21日に日本で公開された、映画『ミッドサマー(Midsommar)』を観ました。目的は2つあり、舞台芸術(衣装、舞台セットなど)の美しさを観ること、夏至祭の描かれ方を観ることでした。 観る前のイメージと、実際に観たときの印象はまったく... -
西洋における光源としての火の利用
火は、人が人らしく暮らすために欠かせないものです。具体的には、火の光源としての機能によって、人は夜に活動できるようになりました。またその熱源としての機能によって、人はより快適に暮らすための技術を発展させてきました。 今回は産業革命前、具体... -
西洋中世期における森の利用と保護への動き
人口が増え、多くの人が森を利用するようになった中世期には、森の利用に関する様々なルールが生まれました。さらには森を持続的に利用するための、森の保護への動きがでてきました。それらについて紹介します。 古代 - 共用空間としての森 かつてヨーロッ... -
西洋中世期の森へ入る職業
中世ヨーロッパにおける森は、生活する上で必要な、様々な恵みをもたらしました。例えば、木材、水、木の実、食用にする動物、蜂蜜などです。中世期には、そのような森の恵みを享受して働く、森へ入る職業の人がいました。 本記事では、西洋中世期における...