投稿記事一覧
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失われた荒野を求めて – ル=グウィン『いまファンタジーにできること』
はじめに これまでファンタジージャンルの小説について、様々なことを語ってきました。例えば、ファンタジー小説に愛好家が少ないのはなぜ?では、ファンタジー小説の愛好家が少ない理由を考えました。また、ファンタジーが逃避文学ではない理由では、よく... -
アントニオ・タブッキ『供述によるとペレイラは……』の考察
はじめに イタリア出身の小説家であり、ポルトガル文学研究者でもあった、アントニオ・タブッキは私のお気に入りの小説家の一人だ。今まででタブッキに言及しているブログ記事を探すと、なんと3つも見つかった。それだけ彼の作品が好きということだ。以下... -
こんな冒険小説を読みたかった!トンケ・ドラフト『王への手紙』レビュー
はじめに ファンタジー、そして冒険好きの皆さん。朗報です!世に貴重なファンタジー文学を探して三千里、これは!!と思う小説に最近出会いました。岩波少年文庫から出版されている、トンケ・ドラフトの『王への手紙』です。 岩波少年文庫!子供向けだと... -
ロード・ダンセイニ『エルフランドの王女』の考察
はじめに ロード・ダンセイニの『エルフランドの王女』と出会えたのは本当に幸運だった。 2021年7月現在、『エルフランドの王女』は絶版になっている。ところがある日、行きつけの本屋へ行くと、新品の『エルフランドの王女』が陳列されていた。それが陳列... -
サン=テグジュペリ『人間の土地』を読んで考えたこと
はじめに 前回は『星の王子さま』だけではないサン=テグジュペリにて、サン=テグジュペリ作品の魅力を紹介した。今回は、彼の飛行士としての経験を元に書いた小説のうち、『人間の土地』を読んで印象に残ったエピソードの所感を3点、綴ろうと思う。 自由を... -
『星の王子さま』だけではないサン=テグジュペリ
はじめに 『星の王子さま』は200以上の国と地域に翻訳されている、世界的に知られた名文学である。しかし、その作者サン=テグジュペリ(1900-1944年)による他の作品を知る人は、意外と少ないのではないだろうか。 今回私は、彼の作品である『夜間飛行』と... -
花とケーキ
はじめに 私はとある金曜日、花屋の店先に立っていた。色とりどりの花は見ているだけで美しい........どれ、一束買おうかな。いや、何でもない日にお花を買うなど、ちょっと贅沢ではないか? いやいや、週末くらいお花を見ながら過ごしても良いのでは? ... -
文献学者にして作家、J.R.R.トールキンの夢
はじめに アントニオ・タブッキによる『夢のなかの夢』は、20人の歴史上の人物(うち一人は架空の人物)が見たかもしれない夢について書かれた短編集だ。以前読んだ『インド夜想曲』も夢とうつつをさまようような世界観でよかったが、今回読んだ作品も負け... -
トライアローグ展【美術展レポ2021年】
はじめに 書くに値することがない場合には沈黙するーーというのがブログ『中世ヨーロッパの道』の不文律だ(※勝手に決めた)。 このブログを開設後、いくつもの美術展に訪れた。例えば「奇想の系譜」展や、「ギュスターヴ・モロー」展、「ハマスホイとデン... -
『鋼の錬金術師』のテーマ考察
はじめに 今回は『月間少年ガンガン』において2001年から2010年まで連載された、荒川弘の漫画『鋼の錬金術師』について、メインテーマを考察します。ネタバレするので未読の方はお気をつけください。 最近まで私の『鋼の錬金術師』に対する知識は、連載当...