物語をつくる– category –
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読書会
カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』-6月読書会
はじめに 2024/6/8(土)に9回目の読書会を開催しました。今回は課題本型で、課題本はカズオ・イシグロの『忘れられた巨人』でした。当日は著者や本のあらすじをおさらいした後、物語内容について考察しました。その記録を本記事に記載します。 読書会はTw... -
創作物語
見習神官ヘマの冒険
はじめに 創作物語の回です。いつもより長めですが、お楽しみください。 見習神官ヘマの冒険 読み終えた本を閉じながら、ついにこの日が来てしまった、とヘマは思った。書見台から本を取り上げ、所定の棚に戻す。一歩引いて、生まれてこのかた、何度も眺... -
物語論
物語における不老不死をめぐる考察
はじめに 不老不死について初めて深く考えたのは、J.R.R.トールキンの『指輪物語』を読んだときでした。『指輪物語』には、不老不死で美しい容姿をもつことが特徴の、エルフという種族が登場します。 エルフとはもともと、北欧神話に登場する超自然的な存... -
作品考察
期待の和製ファンタジー漫画!『竜送りのイサギ』レビュー
はじめに 私は本を買うときは圧倒的な紙派です。電子媒体だと、視覚的に存在感がないため、途中で読まなくなってしまうからです(加えて難しい本の場合、内容も頭に入ってこない)。しかし、本棚のスペースには限りがあるため、「電子媒体でも問題ない」種... -
作品考察
物語の力はここにあり。ドナ・バーバ・ヒエグラ『最後の語り部』レビュー
はじめに 大学生のころ、イギリス近代史を専門としている教授が、「人文"科学"は人文学を科学のうちと捉えるために存在する言葉だと思っている。私は歴史学を役に立たない学問だと思ってほしくないから、できるだけ科学に寄せたい」と言っていたことを覚え... -
創作物語
アルテミス神殿の炎上
はじめに 創作物語の回です。月に1回を目標に投稿していく予定です。お楽しみください。 アルテミス神殿の炎上 かのアレキサンドロス大王が生まれた、七月二一日のことだった。エフェソスのアルテミス神殿の巫女として奉仕していたわたしは、神殿の保管... -
読書会
花畑を連想する小説/エッセイ -3月読書会
はじめに 2024/3/9(土)に8回目の読書会を開催しました。その記録を本記事に記載します。 3月読書会の内容 今回のテーマは、「花畑を連想する小説/エッセイ」です。花畑から連想して、温かくて春らしい本を皆さんに持ち寄っていただきました。今回は2名の... -
創作物語
ロツバの祈祷
はじめに 創作物語の回です。月に1回を目標に投稿していく予定です。お楽しみください。 ロツバの祈祷 薬師のロツバは、人の手ではどうしようもない怪我や病気があることを知っている。だから朝と晩の祈祷は毎日、かかさなかった。 朝の祈祷は、井戸で... -
物語論
ファンタジーランドはなぜ中世なのか
漫画やアニメ等も含めた、ファンタジー物語の舞台は、西洋系・中華系など、モデルとしている文化によって分類されます。そのうち西洋系のファンタジー物語は、西洋中世期の文化水準に設定されがちです。 そこで今回は、西洋系ファンタジー物語が、なぜ中世... -
物語論
昔話とファンタジー小説の共通点
はじめに このブログについてにも記載している通り、私は神話や昔話などの口頭伝承に興味があり、それらに関する本を好んでよく読みます。大昔から今まで伝えられてきた口頭伝承には、時代や地域を越えて共通する、人間の根源的な何かが宿っていると考える...