はじめに
前回は松江を観光した話をしました。今回はいよいよ旅の最終日、出雲大社へ行った話です。
出雲大社
本日は旅行最終日。16時30頃に出雲空港を発つ飛行機を予約しているため、早起きをして出雲大社駅へ向かいます。一畑電車という、2両編成の電車を乗り継いて駅に着きました。
朝ごはんは駅に着いてから適当に食べよう、と思っていたのですが、朝早かったので、参道沿いの店はまだ開店していませんでした。お腹がすいたまま、鳥居へと向かいます。
鳥居をくぐると、異世界のようでした(※)。参道がずっと先まで伸びており、敷地が広大で、古くより存在する神社であることがよく分かります。
※鳥居は神の世界への入口なので、言葉の通り鳥居の向こうは異世界である。過去記事異界への入口を参照。
境内には、出雲大社の祭神である、大国主が助けた因幡の白兎をモチーフにした像がたくさんあります。
大国主と兎が出会った白兎海岸は鳥取県なのに、財源のある(と思われる)島根県に肖像権(?)を取られてしまってなんだか不憫です….…。インスタ女子が好んで撮りそうです。
しかし、出雲大社はさすが伝統のある神社で、消費者に寄り添いすぎたマーケティングをしていなくて安心しました。大国主は縁結びの神様なので、若い女性が出雲大社に大勢訪れるイメージですが、だからといって若い女性にこびるような商業戦略(例えば「恋みくじ」をつくったり、フォトジェニックスポットをつくったり)は一切ありませんでした。
強いて言うならこれらのうさぎの像くらいです。格調高い神聖な神社でした。
こ、これは大変珍しいのでは!?なんと、日本神話の神様の銅像があります。キリスト教や仏教では銅像が当たり前ですが、神道で銅像は珍しいです。さすが日本国の神様。
国といえば、今まで見たこともないほど巨大な国旗もはためていました。神楽殿の横に立てられた旗なのですが、旗の影が大きすぎて恐ろしかったです。日本一大きな国旗かもしれません。
参拝をして、本殿を囲む塀沿いに、時計回りに歩いて行きます。
アマテラスの弟で、ヤマタノオロチを退治した英雄であるスサノオの社が本殿の真後ろにありました。出雲の国へ降りたスサノオは、ヤマタノオロチの生贄になりそうになっていた少女(クシナダヒメ)を救うために、大量の酒を用意します。そして、ヤマタノオロチが酒を飲んで眠ってしまったうちに、八つの頭を斬り落としました。そのとき、ヤマタノオロチの尻尾から生まれた剣が、のちに三種の神器となる草薙剣です。
ドラゴンを退治して姫と結ばれる西洋の英雄と同様に、ヤマタノオロチを退治したスサノオはクシナダヒメと結ばれます。これは世界中で共通する英雄神話の典型であり、スサノオにはなんだか親近感がわきます。
本殿の周りをぐるりと回って、西のほうへ行くと、神楽殿がありました。よくTVや旅行誌で見る巨大なしめ縄はこちらですね。
神楽殿では結婚式が挙げられるようです。このような伝統的な神社で、されには縁結びの神様の元で式を挙げられるのは素晴らしいと思います。
稲佐の浜
出雲大社を後にした私たちは、西へ約1.5Kmほど離れている、稲佐の浜へ行くことにしました。日本海に面したこの浜辺は、旧暦10月の神在月に、全国の神様をお迎えする浜です。あらゆる神様は海からこの浜辺に上陸し、出雲大社へ向かうようです。
一本道の道路をひたすら歩いていると、やがて道の先に海と、鳥居が建てられた岩場が見えました。
岩場の前に賽銭箱があったため、お金を入れて参拝します。日本海の海はもっと荒々しいイメージでしたが、ここの海はおだやかで、澄み切っていました。神々をお迎えするのにふさわしい場所だと思います。日が沈む時間に訪れても、美しいでしょうね。
腹を満たす
朝ごはんを食べないまま、昼時になってしまいました。参道に戻ると、お店が開いていたため、気になるお店に入ります。とりあえずお腹がすいたので何か食べようと、「おふく焼き」を食べました。中にはあんこが入っているので、味はだいたい「たい焼き」です。
また、米俵の形をした「俵まんじゅう」を買って食べました。こちらは明治時代からある老舗のようです。
一畑電車に乗って、空港行きのバスが出ているJR出雲市駅へ戻ります。途中、乗り換え駅で田園風景を見ました。これだけお米があれば、お酒(日本酒)もおいしい、と友達が言います。ヤマタノオロチが飲んだお酒も、きっととてもおいしかったのでしょうね。
出雲空港に着いた我々は、やっときちんとした食事をとりました。時間的には遅めの昼ごはんで、蕎麦を食べました。
私は蕎麦に加えて、そば粉を使った「そばっふる」も注文しました。想像より大きかったので、お腹に入らないかも、と思いましたが、問題なく食べれました。とてもお腹がすいていたんですね。
飛行機に乗って、羽田空港に戻ります。ちょうど日が沈む時間帯で、紅く染まった空に富士山がよく見えました。
おわりに
鳥取・島根旅行記はこれにて終了です。
山陰地方は日本神話にゆかりの地が多く、日本を感じるよい旅ができました。事前に『古事記』や『日本書紀』を読んでいたら、もっと楽しかったかもしれません。ラクダに乗って、おいしいものを食べて飲んで、温泉に入り、芸術を鑑賞し、美しい景色を見て、とても充実した旅でした。
次は、国内だったら青森県の白神山地に行ってみたいです。