【文学フリマ東京41レポ】完売御礼!中世ヨーロッパ本の初販売

2025/11/23(日)に開催された、文学フリマ東京41に出店してきました!東京への出店は、2024年の5月につづいて2回目です。本記事では、いつも応援してくださる皆さんへのご報告もかねて、イベントの振り返りをつづります。

※文学フリマとは:文学作品(自作本が中心)の展示即売会のことです。コミックマーケット(コミケ)やデザインフェスタ(デザフェス)の書籍版だと思ってもらえばイメージしやすいと思います。

目次

1年半ぶりの文学フリマ東京に向けた準備

なぜ東京に出店?

私は2024年の春に四国に移住したので、最も近い文学フリマ会場は「香川」になります。つまりその他の会場で出店するには、旅費(移動代+宿泊代)がかかってくるため、(純粋にイベントを楽しみたい!という気持ちは置いておいて)費用対効果を考慮して出店を決めています。

文学フリマの出店を通して生じたらいいな、と自分が考えている「効果」は、「自分の活動を応援してくれる方を増やす」ことで、具体的にはイベントを通して新たな人と繋がったり、自分の活動の認知度を高めることができたら理想です。

そして、自分が長期的に力を入れていきたいと考えている、活動の主軸は、「中世ヨーロッパを中心とした歴史文化考察」です。よって、それをテーマにした本を販売できるタイミングで、全国で最も多く人が訪れる「東京」に出店しようと、一年くらい前から考えていました。

※なお前回の東京出店では、文学フリマそのものに初めて出店し、短編集のみを販売しました。

各地の文学フリマにて、「ブログ内容のような本があったらほしい!」との要望をいただいたことが、制作のモチベーションになったよ!

結果として、今回のイベントのタイミングで、中世ヨーロッパ本を制作できる目途ができたので、新たな出会いを求めて、東京に出店することにしました。

中世ヨーロッパ本(新刊)の製作

表紙に使用した絵は、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール ≪ふたつの炎のあるマグダラのマリア≫

東京出店に向けて、あらたに制作した本は『心情の中世ヨーロッパ』という学術書です。中世ヨーロッパを生きた庶民の心情に迫る内容で、裏表紙の紹介文をそのまま引用すると、以下の通りです。ファンタジー創作をするための、心情の指南書になることを目指しました。

森、見知らぬ人、暗闇——中世ヨーロッパの人びとは、このようなものに恐れを抱いていました。現代とは全く異なる中世ヨーロッパにおいて、人びとは日々、どのようなことを考え、生活していたのでしょうか。本書を通して、彼らが見ていた世界を一緒に眺めてみませんか。

「心情」というテーマに決めたのが、今年の8月半ばで、そこから約二カ月半で執筆~入稿までを完遂させました。我ながらギリギリのスケジュールで、けっこう大変でした(苦笑)。この本の製作過程については、本記事の最後に記載しているので、興味のある方はご覧ください。

SNSとブログでの宣伝

SNS(X)

新刊の執筆を始めてから、面白い内容になりつつある実感がありました。そのため、はやくXフォロワーの皆さんに新刊情報をお知らせしたい!と思っていましたが、はやく公開しすぎると、他の人にアイディアを盗まれる可能性があります。そのため、「ここから誰かが真似しようと思っても、絶対に間に合わない」という時点までお知らせを我慢しました。

結果的に、Webカタログの公開(イベントの約一カ月前)と同時にXでもお知らせしました。

意識したのは、①表紙ビジュアル、②「はじめに」の文章、③目次、の3点を1投稿にまとめたことです。というのも、自分が学術書を買うどうか判断するとき、②と③は絶対に確認したいからです(①は画像なので目を惹く役割)。

この投稿内容でもって、大きな反響をいただいたので、新刊の需要に対しよい手ごたえが得られました。つまり、皆さんが求めているようなテーマになった実感があり、一生懸命考えて制作した甲斐があったと、ほっとしました。これほど大きな反響をいただけたのも、いいねやリツイートをしてくださった、皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

最近のXは投稿が伸びないと、多くの人の目には留まらない仕様になっているようなんだ。だから、じつは投稿して最初の2時間くらいは、怖いくらいに反応が少なくて心が折れかけたよ……!そこから伸びたのは、本当に皆さんのおかげだよ!

ブログ

宣伝として、今回は初めてブログのホーム画面も活用しました。

理由として、おそらくブログ読者さんの中には、Xを日常的に使用していない方もいると考えたからです。そのような方は、ブログのURLをブックマークしていて、定期的に新記事が投稿されていないか確認しているのかな?と想像しています。そのため、そのような読者の方にも、新刊のお知らせが届くように、ホーム画面の画像を一カ月くらい、以下に設定していました。

あわせて、上記の画像をクリックすると、Webカタログの作品ページに飛ぶ設定も行いました。本サイトのテーマは、以下のSwellを使用しています。このテーマに変えてから、ブログがとても見やすくなり、できることも増えたので、本当に気に入っています。

印刷部数の決定

さて今回の新刊は(ギリギリまで制作していたこともあり)、宣伝時の反響を見てから、印刷部数を決定しました。考慮したのは、①Webカタログのお気に入り登録数②Xでの反響、の2点です。というより、これ以外に自分が数として得られる指標はないので、これら2点をもとに、これまでの経験を考慮した上で決定しました。

個人的に、より精度が高いと考えているのが、「Webカタログのお気に入り登録数」です。文学フリマの公式Webカタログでは、アカウント登録(無料)すると、気になる出店者を「お気に入り」としてブックマークできる機能があります。そして、これまでの自分の出店記録を分析すると、新刊の売上部数は、〈お気に入り数〉×2の周辺であることがほとんどです。

例えば、文学フリマ香川1では、お気に入り数を「13」いただいていました。そして、そのとき販売した『おとぎ話集Ⅰ』の売上数は39部でした。つまり新刊の印刷部数は、お気に入り数の2倍以上、最大で3倍であれば安心ということになります。

在庫が多いと、家のスペースを圧迫するし、本そのものが劣化するリスクもあるから、あまり在庫は抱えたくないと思っているよ。

たしか今回は、印刷を注文する時点(イベント3週間前)では、お気に入り数が20くらいでした。そのため、これからお気に入り数が増えることも考慮して、80部を注文しました。最初は40部でいこうと思っていたため、これでも攻めた数でした。

ところが、イベント開催日が近づくにつれて、ありがたいことにお気に入り数が増加しつづけ、開催一週間前には「40」を超え、当日には「69」になっていました。これまで出店してきた文学フリマでは、Webカタログのお気に入り数は、一週間前から当日まで変わらない印象だったので、驚きました。文学フリマの認知度は年々高まっており、とくに東京の場合は、直前にイベントを知って行く予定を組む人も多く、そこでお気に入り数が急激に増えることもありえるのだろう、と思いました。

まとめると、Webカタログのお気に入り数から、一週間前の時点で、新刊の完売が予測できたものの、もう追加印刷は間に合わないのでどうしようもありませんでした

一方で、Xでの反響は、個人的にはあまりアテにできないと考えています。けっこう昔に、Xでの反響をもとにたくさん同人誌を刷ったものの、結局はそこまで売れず、大量の在庫をかかえることになった、という投稿を見たことがあるためです。実際に、自分を買い手に当てはめて想像しても、Xの投稿を「いいね」したあと、そこから実際にイベントに足を運んで商品を買うまでは、かなりハードルが高く、実現する可能性は10%くらいだと思ってしまいます。

そのため、印刷部数を決定する上で、Xでの反響はあまり考慮しませんでした。

文学フリマ東京当日の状況

文学フリマ東京41のお品書き

売上部数

前提として私のブースは、所用のためイベント終了より一時間早めの、16時までの販売としました。そのため12時~16時までの4時間の売上部数となります。

文学フリマ東京41で販売した本の、売上部数は以下の通りです。『心情の中世ヨーロッパ』と『おとぎ話集Ⅰ』については、ありがたいことに見本誌とブースに置いていたサンプルの、各2部もお買い上げいただきました。

本のタイトル持参部数(見本をのぞく)売上部数ジャンル
心情の中世ヨーロッパ8082(完売)学術書
おとぎ話集Ⅰ1820(完売)短編集
シコークキングダム5513四国のガイドブック
星を追いかける153イラスト集

『心情の中世ヨーロッパ』は、事前の予想通りで、持参部数がぜんぜん足りませんでした。イベント開始直後から、ものすごい勢いでお買い上げいただき、1時間半経過した頃に、見本をのぞく80部が完売しました。完売したあとも、お問い合わせを数多くいただいたため、最低でも150部、できれば200部の用意が妥当な印象でした。本書を楽しみに来てくださった方には、本当に申し訳なかったです。準備ができしだい、Boothでのネット販売をしますので、Xでのアナウンスをご確認ください。

『おとぎ話集Ⅰ』については、完売がイベント開始から3時間ほど経過した後でした。なので、持参数としては妥当だったと思います。できればあと5部ほどあれば、欲しい方全員に届いたという感覚です。『おとぎ話集Ⅰ』は今回で第3版すべてをお買い上げいただいたため、次回のイベントでは新しい版を刷る予定です。

『シコークキングダム』は、文学フリマ香川2に向けて制作した本で、制作当初は、Xで大きな反響をいただきました。そのため、もっと需要があると予想していましたが、あまりお求めはなく意外でした。時間が経ってしまったので、忘れられたか、興味が薄まったのだろうな、と思いました。

『シコークキングダム』のお求めが少なかったことから、「首都圏の人は地方にあまり興味がないのかな?」と考え、少し悲しいですが、それはおおむね事実だろうと思いました。おそらく、四国がどこにあるかを知らない人も多そうです。移住組の私は、都会にない魅力が地方にあると思っているので、これからも発信を続けていきたいです。

傾向としては、『シコークキングダム』はこれから四国に旅行をする方か、以前四国に旅行したことのある方に、お買い上げいただく印象でした。「地元民しか知らない、四国あるある」な内容になるよう頑張ったので、ぜひ楽しんでくださいね。1つ反省したのは、表紙とタイトルから内容を想像しづらいということです。じつをいうとこの本は、旅行のための冊子というよりは、各地の文化や風習を知ることに重点を置いています。仮に販売を継続して、新しい版を刷る際には、そのあたりが伝わるように改善したいです。

『星を追いかける』は需要に対し、持参部数が多かったと思います。在庫はまだあり、在庫限りで販売を終了する予定です。しかし、ブースで扱う商品のコンセプトを一貫したほうがよいと考えているので、次回のイベントで販売するかどうかは、よく考えたいです。もちろん、私にとってはどれも思い入れのある、大切な本ですが、これらの中では一番需要がないので、在庫の終了を待たずに販売を終了したほうがよいかもしれません。

ブース訪問の傾向

イベント開始から、最初の2時間で訪問してくださる方が多いのは、これまでの出店と変わりませんでした。一方で初めての経験だったのは、新刊の購入が目的で、イベント開始直後~30分くらいの間に、(売り切れる前に買おうという意思で)急いで訪問してくださる方が多かったことです。人が立て続けにいらっしゃったときは、2人くらいの待機列ができることもありました。

他にも別ブースで目当ての本がある方は、お金や本の受け渡しもあわてている感じで、また後ろに待機者がいらっしゃるので、そのような状況下では、販売者としても、早朝コンビニのレジバイトのような流れ作業にならざるを得ませんでした。つまり、せっかく新刊に興味を持ってくださった方と、ゆっくりお話する時間がとれなかったことに対して申し訳なく思い、また自分としても残念に感じました。

これは完全に、新刊について余裕のある部数を用意できなかった私の落ち度で、その結果、皆さんを急がせてしまうことになってしまったと思います。本当に申し訳ありません。シンプルに、会場内で急いで移動すると危ないので、事故防止のためにも、次回からは余裕のある部数を用意しようと思いました。

接客の工夫

接客について、前回から改善したことがあります。それは、ブースを気にして遠巻きに見ている方に、ウェルカムな声かけをできたことです。具体的には、「ご自由に見ていってください」や「こんにちは~」といった声かけです。これは、前回の文学フリマ香川2で得て、ぜひ実践したいと思った学びでした。ずばり、声かけしてくれるブースには近寄りやすい

意識して実践したわけではなく、主に以下2つの理由から、自然にできました。

  • 会場に活気があり、人も多かったので、声かけしても違和感のない雰囲気だった。前回、東京で出店したときには周りも静かで声かけを遠慮してしまった。
  • 最近、接客業のアルバイトを始めたので、大学生くらいの頃には備わっていた「お客様に対する愛想のよい対応」感覚が戻ってきた。

嬉しかったお声や出会い

イベント中にいただいた、嬉しかったお声や出会いの一部を紹介します。

  • 本について「全種類いただけますか?」とおっしゃってくださった方。何人かいらっしゃいました。作品を楽しみにしてくださる方がいるなら、東京に出店してよかった、と思いました。
  • 「学術書を普段読まないので、読めるかどうか…」と悩まれつつ、チャレンジで新刊を購入してくださった方。
  • ご自身の研究や興味を話してくれた方。同じく西洋中世史を研究していたという方、私がアイコンにしているユニ一角獣のタペストリーを研究していたという方、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの絵が本当に好きで、それがきっかけで(表紙絵がラ・トゥールの)新刊に興味を持ってくださったという方などがいらっしゃいました。何かに打ち込まれていることが素敵で、自分もがんばろうと刺激をもらえました。
  • 前回の文学フリマ香川にも来てくださったという方。新刊が売り切れで申し訳ありません!
  • Xの相互さん。はじめてリアルでお会いした方もたくさんいらっしゃいました。

今回得た学び

「市場では入手できない本」を売りたいし買いたい

今回得た学びの一つ目は、文学フリマの魅力を味わうには、「市場では入手できない本」を売りたいし買いたい、ということです。

今回の出店では、たくさんの方が訪問してくださいました。とても嬉しかった一方で、事前にSNSやWebカタログでチェックして来てくださった方が多い印象を受け、まったく作品を知らない状態から偶然立ち寄ってくださった方が少ない印象を受けました。

文学フリマの醍醐味の一つに、「宝さがし感」が挙げられると思います。つまり、友人に「こんなにユニークな本を見つけたんだ!」と自慢したくなるような本に、その場で偶然出会えることが魅力だと、個人的には考えています。

Xの相互さんと、戦利品を見せ合いっこすることが楽しくて気づいたよ~

例えば、相互さんに見せてもらった、江戸時代の絵巻を現代語で読める本や、書き出し祭り(小説の企画)で入賞した作品のファンアート集などは、すごくユニークで面白かったです。

言い換えると、市場で普通に出回るような本を買う場合、「文学フリマというイベントの特性を活かした楽しみ方」としては、少しもったいないと思いました。せっかくよい意味での「へんな本」が集まるイベントなので、誰も持っていないような、ユニークで面白い本を見つけよう!という意気込みで会場をめぐるのが楽しく、欲を言えば、それが偶然見つけた本である場合にはさらに楽しい、と思いました。

そのような気づきを得たので、今後の文学フリマでは、偶然立ち寄ってくださる方が、「ユニークで面白い」と思ってくれるような本を売りたいし、また自分でも買っていきたいと思いました。「意図していなかった本を買う」という行為は、新しい知見を得るためにも非常に重要で、だからこそ本好きはみんな、ネットショップでは満足せずリアル書店に足を運ぶのだと思います。

新刊は余裕のある部数を用意すべし

今回得た学びの二つ目は、新刊は余裕のある部数を用意すべき、ということです。

今回は『心情の中世ヨーロッパ』について、これまでの自分の実績からだと、非常に攻めた80部という数を用意していました。にもかかわらず供給が追いつかない事態になってしまったので、予測が難しい場合もあります。

しかし今回の件で、自分のつくる歴史文化系の本は、他ジャンルの本より需要があるということが分かりました。そのため今後は、常に他より在庫を多めに保持しておきたいですし、同じジャンルで新刊を販売する際には、今回よりも多めに刷りたいと思いました。

また、文学フリマにある程度出店をつづけると、自身の「新刊」を楽しみにしてくださる読者の方が増えてくるので、「新刊」を出す場合には、想定売上部数の2倍くらいの数を用意しておくとよいのかも、と思いました。もちろん、つくってみたら全く人気がなくて大赤字、という場合もあるので、需要がどの程度あるかは、できる限り正確に把握していきたいです。

新刊の製作裏話 – 心情の中世ヨーロッパ

イベントの振り返りは以上で、ここからは新刊の製作裏話をつづります。

製作の動機

じつは文学フリマに出店しはじめた当初は、歴史文化系の本を、文学フリマで販売しようとは全く思っていませんでした(自作小説を販売することが目的でした)。当時はすでに本ブログを運営していましたが、「おそらく多くの方が無料で読めるからブログを読んでくださっているのであって、わざわざお金を払ってまで読みたいという方はいないだろう」と考えていたからです。

しかし、文学フリマに出店するなかで、「ブログは本にしないのですか?買いたいです!」とのお声をいただくことが増えました。そこでまず思い至ったのが、①ブログの発信内容にお金を払いたいと思ってくださる方がいる、ということです。次に思い至ったのは、②求められているのは<ブログ内容と同じ内容の本>ではなく、<ブログのよさを踏襲した何か新しい視点の歴史文化本>である、ということです。

②については当然ですよね。仮に製作した本が、ブログで発信している内容と全く同じであるなら、無料で公開されているので、わざわざお金を払って本を買う必要はないわけです。なかには、電子画面ではなく紙で読みたいから買う、という方もいらっしゃると思いますが、少数派だと思います。

なにより、新しくつくる本の内容が既存のコンテンツと同じ、という状況は、クリエイターとしてよろしくないと思いました。そして、仮にブログ内容と同じ内容の本しかつくれないのなら、(新しいコンテンツを創出できないということなので)歴史文化の発信活動を長期的につづけられる見込みはないですよ、と自分と周りに知らしめすようなものだと認識しました。なので、新刊制作の取り組みは、今後も活動をつづけられるかどうかを内外に見極めてもらうための正念場だな、とも思いました。

そこで、ブログのよさを踏襲した新しい内容の本をつくるべく、いろいろと考えはじめました。

完成型のイメージとして参考にした本

まずは、完成型のイメージをざっくり固めよう、と思いました。私が制作を目指したいのは、専門知識がない方にも楽しく読める、かつ奥深い内容の本です。

自分の本棚に並ぶ本のなかで、その定義に当てはまりそうな本を探したところ、以下の4つの本がピックアップできました。

これら4冊は2つのタイプに分類でき、勝手に命名すると、前半2冊は「事典型」、後半2冊は「テーマ型」です。

事典型は、辞書のように知りたい事柄を索引して、学べるタイプの本です。たいてい、見開き1ページか半ページで1つの事柄に関する記述がまとまっています(『図説 中世ヨーロッパの暮らし』はそこまでカッチリ型が決まっておらず、雑誌のような感じ)。気軽に読めるメリットはありますが、内容が浅くなる可能性があります

一方でテーマ型は、導入→本文→結論、という三部構成で、本全体で1つの決められたテーマについての考察がされています。この型は一般的な学術書のスタイルです。深い知識が得られるメリットはありますが、ある程度の読解力が必要となります

新刊について、どちらのタイプにするか悩んだすえ、テーマ型にすることにしました。例として挙げた、NHK出版の「世界史のリテラシー」シーズと、岩波ジュニア文庫は、平易な文章なのに奥深くておもしろいという、(個人的な)定評があるので、これらのような本に仕上がったら理想だと思いました。

テーマと内容の決定

『心情の中世ヨーロッパ』の末尾に詳しく記載した通り、今回の本のテーマは、自分が長年興味を持っている「心」にしようと思いました。その後は、ブログ記事を執筆するときと同じで、まずは目次をつくって、大まかな論の流れを決めることにしました。

ところが、一冊の本ともなると、文章量がブログ記事の10~20倍になります。その長さの内容で、一貫したテーマかつ、読みすすめるにつれて論考が深まっていく内容を考えるのは非常に大変でした。じつは執筆前は、いつもブログ記事を書いているので、その気になれば同じような内容の本も苦なくつくれるだろう、と考えていました。しかし目次を考えるにあたり、本当に深い知識を持っていないと、一冊分の本になる文章量を創出できないことを実感し、本をつくるという行為を舐めていた、と何度も思いました。

目次を考えるにあたっては、以下のようにExcelにメモ書きしました。

はじめは「章」と「節」まで決めて、執筆を始めようとしました。ところが、節のテーマ(例:中世人は何を恐れたのか)が漠然としすぎて、何から書けばよいか分からないことに気づきました。そこで、節をさらに細かく分解して、「項」まで決めることにしました。項(例:ミクロコスモスとマクロコスモス)まで決めると、一項の長さがブログ記事と同程度か、やや少ない量になるので、ブログ記事を書くような感覚で、迷いなく書くことができました。

この目次を決める作業が、今回の執筆のなかで間違いなく、最も大変な箇所でした。完成した目次と、本文の「はじめに」については、以下投稿をご覧ください。

執筆モチベーションを保つための工夫

目次が決まれば、あとは目次という「案内」に沿って内容を具体的に書くだけです。ところが、執筆そのものもけっこう大変でした。何が大変かというと、長時間執筆をつづけるための、モチベーションが保てないのです。

思えば、ブログ記事を書くときには、だいたい1万字くらい書けば、皆さんに公開してリアクション(=応援)をいただくことができます。ところが、本の場合は、だいたい10万字くらい書かないと公開できません。つまり、執筆に対する応援を長い間いただくことができません。ゆえに、執筆のモチベーションは、基本的には一人で維持する必要があります。

そこでいろいろ考えて、やはり自分で自分を応援するより、皆さんから反応をいただけたほうがモチベーションになる!と思ったので、Xを通して、週次で執筆の進捗を報告することにしました(以下)。

この報告には、主に二つの効果がありました。一つには、「週末には皆さんに進捗を報告するんだから、怠慢だと思われないために執筆をさぼれないぞ」という自分を激励する効果があります。もう一つには、いいねなどのリアクションをいただけると、新刊を楽しみにしてくださる方がいるという実感がわき、モチベーションが高まる効果があります。

これらの投稿にリアクションをくださった方、本当にありがとうございます。リアクションをくださった方々のおかげで、新刊が完成したといっても過言ではありません

新刊の構想と執筆は8月中旬から始めて、イベント一カ月前の10月末には、初稿が完成して推敲する段階に入れました。おおむね当初のスケジュール通りに仕上がったと思います。イベント直前になると、印刷所も混み、納期が通常より遅れるため、やや時間に余裕を持った状態で入稿ができて、安心しました。

おわりに

今回は、文学フリマ東京41の出店のようすと、新刊裏話についてのご報告でした。

『心情の中世ヨーロッパ』は、宣伝の段階で好評いただき、実際にイベントにて多くの方の手に取っていただけました。それもこれも、いつも応援してくださっている皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

しかし、問題は内容がきちんと期待通りに面白いか、という点です。そこは皆さんのリアクションや感想をいただかないと分からないので、もしも、感想をくださるという方がいましたら、X投稿などでいただけたら大変よろこびます。

新刊の制作も一段落したので、ブログ更新を再開する予定です。また、新しい施策も考えています! 準備ができましたら、Xにてアナウンスします。

最後に、自分が今回のイベントで購入した本の紹介です。

自身が購入した本

  • 海辺のマルゴ
  • 面とペルソナ20’s
  • キアポ教会前の呪術市場
  • ミーヌー・ナーメ
  • 私のパキスタン体験記
  • エイルと最後の竜

さっそく楽しく読ませていただいています! 次のイベントでもどんな本に出会えるかと、わくわくしています。

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