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文学フリマ香川3を終えて、次の本づくりへ

2026/8/2(日)に開催された、「文学フリマ香川3」に出店してきました。35度を超える灼熱の気温のなか、本当に多くの方にお越しいただき、ありがとうございました!

今回は、ブログ活動をふまえた初の本である、『心情の中世ヨーロッパ』を取り扱った2回目のイベントでした。1回目のイベントでは見えてこなかった、さまざまな学びを得たため、記録としてこの記事をつづります。

※文学フリマとは:文学作品(自作本が中心)の展示即売会のことです。コミックマーケット(コミケ)やデザインフェスタ(デザフェス)の書籍版だと思ってもらえばイメージしやすいと思います。

目次

今回いちばん嬉しかったこと

今回のイベントで何よりも嬉しかったのは、四国近辺の読者の皆さんとの関係が、続いていることを実感できたことです。

私が香川開催の文学フリマに出店するのは3回目です。一方で来場する方々のなかにも、年に一回のこのイベントを楽しみにしているという方は多く、継続して出店していると、だんだんブース構えや顔を覚えてもらえます。

その結果、今回のイベントでは読者の皆さんから「この本おもしろかったです」「X・ブログの更新楽しみにしています」などといった、応援の声をたくさんいただくことができました。「既刊は全部読ませていただいています」と言ってくださる方も何人かいらっしゃり、イベントを通じて、継続して応援していただけることの喜びを噛みしめることができました。

そのような応援をいただけることは、活動全体の大きなモチベーションになっています。本当にありがとうございます。

また、『心情の中世ヨーロッパ』を手に取ってくださる方に、年配の方や男性の方が珍しくなかったことも嬉しかったです。というのも、これまで制作した本と異なる層にまで、本が広く届いていることを実感でたからです。

なかでも嬉しかったのが、「この年になって美術などに興味を持ちはじめて、勉強している最中で、あなたの本も活用させていただきたい」とのことを言ってくださるご年配の方がいたことです。

文化的な活動は、生活を直接支えるものではなくても、生きる楽しさをもたらしてくれるものだと思います。今回いただいた言葉から、そうした活動に微力ながら関われていることを嬉しく感じました。

ポスターとフリーペーパーの手ごたえ

今回は、ブログ活動をふまえた初の本である、『心情の中世ヨーロッパ』を対面で販売した2回目のイベントでした。そのため1回目では意識できなかった、イベント当日の宣伝に重点を置いてみようと考えました。

というのも、1回目の文学フリマ東京では、その日が販売初日だったこともあり、購入してくださった方の9割くらいが、XやWebカタログで事前チェックしてくださった方だったと思うのです。

その時はイベントが始まるやいなや、絶え間なく『心情の中世ヨーロッパ』をお求めいただき、(ありがたいことに)そのペースのまま完売に至りました。よって1回目は、その場での宣伝も何もなく、本書をお求めされる方々に、スムーズに渡すことしか意識できませんでした。

その後、Booth通販でも本を販売したため、発売時から本書に強い関心を寄せてくださっていた方には、ある程度行き渡った時期だと思います。よって、今回のイベントにて本を手に取ってくださる方がいるとしたら、その多くは『心情の中世ヨーロッパ』を初めて見る方だろう、と思いました。

つまり今回のイベントでは、まったく初めましての状態から、『心情の中世ヨーロッパ』に興味を持っていただく施策が重要になると思いました。しかも本書は「学術書」かつ「歴史」という、一般的には他ジャンル――例えばエッセイや小説――より、興味関心層が少ないジャンルになります。

よって普段学術書を読まない方や、歴史にさほど関心がない方に、いかに面白そうだと思ってもらえるかが、本書を手に取っていただけるかどうかの要になるだろうと思いました。

そこで今回力を入れたのは、①ブースに立てるポスターと、②フリーペーパーの2点です。

ポスターの工夫

ブース(自分に割り当てられた設営場所)におけるポスターの重要性は、即売会に出店したことのある方には、周知のことだと思います。つまりポスターがないよりは、あったほうが、確実に多くの方に足を止めてもらえます。

そのようなわけで私も毎回ポスターを持参しており、ポスターデザインは、最新刊(=いちばん注目してほしい本)の表紙を踏襲したものにしています。

参考として、以下に過去のポスターデザイン例を載せます。

文学フリマ東京38での設営のようす。
文学フリマ香川2に向けた設営練習のようす。

ポスターのメインビジュアルが「最新刊」であることは悪くないと思います。なぜなら、そのお店の「看板商品」が何なのか、ポスターが目に入った瞬間に分かるからです。

しかし、改めて見直すと改善点が見えてきました。まずは、「ポスターを見ただけでは、その本がどんな内容の本なのか分からない」。さらには、「せっかく広い印刷スペース(A3サイズ)があり、宣伝を入れる余地が多いのに、文字を入れないのはもったいない」。

そこで『心情の中世ヨーロッパ』をメインビジュアルにしたポスターに、タイトル以外の文字を入れることにしました。具体的には「その本を特徴づける単語」「その本を読めば得られるもの」などです。そうして完成したのが以下のポスターです。

当日の設営のようす

当日は、このポスターの効果をすぐに感じることができました。すなわち、ポスターの前で足を止めて、宣伝文を読んでくださる方が多かったのです。

ポスターをじっくり見てくださった方のなかには、他のブースも回ったあとに、戻ってきて購入してくださる方もいました。また、前よりデザインが洗練されたこともあって、自作本ではないと思ったのか、「どこの出版社から出されたんですか?」と尋ねてくださる方もいました(誤解させてしまいすみません汗)。

このいい感じのデザインの草案は、AIに提案してもらいました。少し前に家族が、販売する野菜の宣伝ポスターをAIに作ってもらい「出来がすごい!」と感動していたのです。そこで見せてもらうと、本当にその通りだったので、私も使ってみようと思いました。

ただ、AIの提案画像をそのままポスターにするには、内容がおかしかったり、文字が崩れていたりするので、その案をもとに、Canvaでデザインし直しました。

以下の記事で書いた通り、現状はAIにもCanvaにも課金しているので、けっこう柔軟に対応できました。

フリーペーパーの工夫

お客さんに「足を止めていただく」という効果において、ポスターの右に出るものはありません。ブースに興味を持っていただくには、何を差し置いてもポスターだと感じます。

しかし、足を止めてくださったからといって、必ず本を購入いただけるわけではありません。ブースに興味をもっていただいた後に重要なのは、本の内容に対し「面白そう」「読みやすそう」と思ってもらうことです。いわば、ビジュアルや宣伝文句に頼らない、中身の勝負がはじまるわけです。

そこで活用したのが、フリーペーパーです。じつは従来のフリーペーパーでは、ポスターと同様に「ビジュアル性」を意識していました。

具体的には、ハガキの片面にカラーイラストを印刷し、裏に簡単な宣伝を書くスタイルにしていました。というのも文字だけの紙より、カラーイラストのほうが、受け取ってもらいやすいと考えていたからです。

しかし自分の強みと、本の特性を考えたときに、これから推しだすべきは、ビジュアルではなく「文章」だと考えました。つまり、フリーペーパーで自分の文章に対し「面白そう」「難しくなさそう」と判断いただければ、「この人の本なら読んでみたい」となり、本を購入するハードルが下がるだろうと思いました。

そこで、以下の要素をメインに入れたフリーペーパーを作成しました(A5サイズ、モノクロ印刷)。

  1. 中世ヨーロッパの小話(800字前後)
  2. 最近心に残った本の紹介
  3. 『心情の中世ヨーロッパ』の制作裏話

最重要なのは、表面に印刷した①です。なぜなら、この小話のテーマ(中世ヨーロッパ)と語り口が、本に対する「面白そう」「難しくなさそう」につながり、「『心情の中世ヨーロッパ』を読んでみたいかも」につながるからです。裏面の②③は、自分の人柄を知っていただき、親しみを感じていただくために載せています。

当日の効果としては、まず、従来のカラー印刷のフリーペーパーより多い枚数(150枚以上)を、受け取っていただくことができました。これはポスターのビジュアルや宣伝文に興味を持っていただいた上での、相乗効果とも言えます。

次に、その場でフリーペーパーに目を通してくださる方が、とても多かったです。その上ですぐに本を購入してくださる方もいれば、時間を置いてまたお越しになり、本を購入してくださる方もいました。体感としては、後者の方のほうが、前者の方の2倍くらい多かったと思います。

すぐに目を通してくださるということは、ポスター等によって興味が高くなっている状態ということです。また、あとから再びお越しくださるということは、フリーペーパーの文章で「面白そう」と判断してくださったということです。

すなわち今回のイベントでは、ポスターとフリーペーパーについて、自分の活動スタイルに適した方向へと改善された手ごたえを感じました。

そして『心情の中世ヨーロッパ』の売れ行きは・・・

今回のイベントは、歴史系の学術書について、初見の人が多いなかで興味を持っていただくという、難しい試みになることが予想されました。

その裏付けとして、Webカタログでの「お気に入り」数も、過去の文学フリマ香川出店と比較して最も少なかったです。そのことからも、今回は過去の出店より厳しい状況だと感じました。

しかしポスターやフリーペーパー、声かけなどの工夫が功を奏したようで、結果的には、想定を上回る部数をお手に取っていただくことができました。じつを言うと、持ち込む部数について最後まで悩み、「過去のお気に入り数の傾向からすると、これくらいの売れ行き」という部数は算出できていました。そして当初は、その部数前後を持参する予定でした。

しかし直前になって、「今回はポスターもフリーペーパーも一新したんだから、強気でいかないと!」と思い、多めの部数を持ち込みました。結果的には、皆さまのおかげで、当初持参する予定だった部数以上の売れ行きになり、完売の事態を免れることになりました。お求めを希望される方の、全員の手に本が届いて、本当によかったです。

イベント後にほっと一息。トルココーヒーです。

ブースづくりについての学び

ポスターやフリーペーパーが、自分に適したスタイルに改善された一方で、反省点も浮かびあがりました。それは、ジャンルの異なる本がいろいろと並んでいると、制作者が何に強みをもっているのか、そのブースで何ジャンルの本を扱っているのか、ぱっと見で分からないということです。

今回ブースに並べたのは、以下3種類の本で、それぞれ異なるジャンルでした。

本の題名ジャンル
心情の中世ヨーロッパ学術書
おとぎ話集Ⅰ短編集
シコークキングダム四国のガイドブック

ところが、お客さん視点でいうと、そのブースが何のジャンルのお店かというのは、最初に目についた作品に基づき想像されます。

例えば、最初に『おとぎ話集Ⅰ』に着目された方から、『心情の中世ヨーロッパ』を指して「こちらはノンフィクション(物語)なんですか?」と尋ねられることがありました。つまり、その方は最初に目についた作品が小説だったことから、「このブースは小説を扱っているお店なんだ」と認識したのだと思います。

他にも、異なるジャンルが並んでいることでの勘違いがあったり、「普段は何の活動をされている方なんですか?」との質問があったりしました。これは、「中世ヨーロッパ」というブランドを推しだすにあたり、想像以上によくない状況でした。

よって、ブースづくりとしては、「何でも並べる」より「何の店(人)か」が一目で伝わるほうが強い、ということが分かりました。

現在、中世ヨーロッパの新刊も制作中です。そのため、この学びを踏まえて今後の文学フリマでは、初見の方に分かりやすいよう、中世ヨーロッパの本をメインに並べることにしようと思いました。

一方で、Boothでは全作品を並べるのと、イベント中に既刊のお求めがあった場合に備えて、(ブースでの展示はしないものの)少数部のみ用意しておきたいと思います。

次の目標

次のイベント出店は、11/8(日)の文学フリマ東京43の予定です。イベント当日は、中世ヨーロッパ関連の新刊を発売する予定で、現在執筆を進めています。

新刊は『心情の中世ヨーロッパ』より気軽に読める内容になる予定で、読書を通じて、中世ヨーロッパの世界を「旅する」感覚になる本を目指しています。7月末までの進捗はこんな感じで、全体の2割が書き上がっている状況です。

タイトルや目次などの詳細は、イベントの一カ月前、Webカタログが公開されるタイミングで確定&発表できたらと考えています。

おわりに

今回は、文学フリマ香川3で得た学びをつづりました。

今回はポスター、フリーペーパー、ブースづくりなどを通じて、本をどう作るかだけでなく、どう届けるかも、本づくりの一部だと実感したイベントでした。

またイベントではさまざまな応援のお声をいただき、大変はげみになりました。新刊の執筆は大変でもありますが、皆さんからいただいたお声を励みに、完成に向けて進めてまいります。ぜひ、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。

『心情の中世ヨーロッパ』については、こちらのまとめページでご覧いただけます。

*

おまけ

今回のイベントで自分が購入した本。楽しく読ませていただきます。

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